ラ・メゾンのシェフとパティシエの
目利き食材をご紹介します

パティシエの目利き
2023.10.01(2023.10.05 update)

長野県オリジナル品種の秋に映えるりんご「秋映」

長野県のりんご3兄弟のひとつ「秋映」

りんごとは

りんごの歴史・品種

りんごの歴史は古く、アダムとイブの物語にも登場する果物です。紀元前6000年頃にはすでにトルコで登場しており、紀元前1300年にはエジプトで栽培されていたといわれています。日本で本格的にりんごが栽培されるようになったのは明治時代になってからです。

日本でも約2,000種の品種があると言われており、世界では約15,000種にものぼります。多くの人に愛され続けている果物なんですね。


りんごの旬はいつ?

りんごの旬の多くは、夏の終わりから秋にかけて成熟する果物です。
スーパーなどで1年中りんごを見かけるのは、「CA貯蔵法」という技術でりんごを仮死状態にして長期保存しているからです。
家庭で保存すると、おいしく食べられる期間はせいぜい1~2週間程度ですが、CA貯蔵法だとりんごの呼吸を抑制することで鮮度を保ったまま半年以上も保存できるのです。
技術の進歩は素晴らしいですが、やはり旬の時期に食べるのも醍醐味のひとつ。秋の味覚のりんごを楽しめるのは、今がおすすめです。

りんごの品種によっても旬の時期は様々。
ラ・メゾンで使用する「秋映」の収穫シーズンは10月頃から始まります。また栽培のほとんどは長野県で行われ出荷されています。


りんごの産地はどこ?

りんごの国内の主な産地としては、青森県(約59%)、長野県(約19%)、岩手県(約6%)が挙げられます。
りんごは寒い地域の方が色づきが良く甘く育つため、年平均気温が10℃前後で降雨量の少ない場所が主な生産地として栽培されています。
除袋時は真っ白な果実が、約2週間ほどで赤く色づき収穫を迎えます。その過程で、周辺の葉を取り除いたり、日光を反射させるシートを地面に敷いてりんごの下面にも光を当て、りんご全体に色をムラなくつけるようにする作業を行うなど、丁寧な手作業を加えることで、赤く艶のある美味しいりんごが育ちます。


栽培の主な作業とは

剪定(1~3月)
剪定はりんごを栽培する上で最も重要な技術で、「剪定でりんご作りの7割が決まる」と言う位重要な過程です。将来どのような樹形に仕立てるかを見据えて、樹の内側まで日光が届くように一本一本丁寧に枝を切り落として時間をかけて枝の配置を整えます。

摘花・授粉(5月)
摘花は、つぼみや花の時期に「中心花」と呼ばれる真ん中の大きな花のみを残して周りの花を摘み取る作業で、早い時期に摘み取るほど樹の貯蔵養分の消耗が少なく、りんごの品質向上につながります。
授粉は人の手で1つ1つの花に花粉をつけて確実に結実させる作業です。現在はマメコバチによる受粉が主ですが、従来の人工授粉も健在で、安定した収量を確保するのに欠かせません。

摘果(6~7月)
りんごは1つの株から5~6つの花が咲いて幼果ができますが、それぞれが樹の貯蔵養分を取り合うため全ての幼果が大きくなることはできません。そこで、真ん中の大きな「中心果」を残して周りの幼果を摘み取ります。
最終的に摘果で選ばれたりんごだけが大きく育てられていきます。

袋かけ(6~7月)
袋かけは、病気や害虫からりんごを守り着色や貯蔵性をよくするために摘果後のりんごに一つずつ袋をかける作業で、これを「有袋栽培」といいます。

除袋(袋はぎ)(9~10月)
除袋はりんごにかけた袋をはがす作業で、果実に光を当て綺麗に着色させます。除袋は作業のタイミングが重要で、気温や日射量によっては果実が焼けて商品の価値が無くなってしまう場合もあり、特に神経を使う作業で経験が必要です。

収穫(9~11月)
全てのりんごを一度に収穫してしまえば労力も時間も省約できます。しかし品種によっては同じ木の中でもどうしても色つきや熟期が揃わないものがあります。その場合には、色つきが良く食べ頃なりんごだけを数回に分けて収穫するなど、より美味しいりんごを消費者に届けたいという思いが込められています。

「医者いらずの果物」りんごは栄養も豊富

りんごの栄養

「1日1個のりんごは医者を遠ざける」ということわざは日本だけでなく、世界各国でもあるように、りんごは健康と美容に効果の見られる果物です。

りんごに多く含まれている水溶性食物繊維のペクチンが消化を促進させ、胃酸のバランスを整えてくれます。便秘や下痢にりんごがよいといわれるのはこのためです。またペクチンはアレルギー性疾患の予防に有効だという報告もされています。

さらにりんごに含まれるポリフェノールの一種「カテキン」には抗酸化作用があり、高血圧やがん予防、老化抑制に期待できます。同じくポリフェノールの一種である「ケルセチン」も動脈硬化やがん予防に有効とされます。

このように、りんごはさまざまな病気の予防に効果が期待できるため、まさに「医者いらずの果物」といえるでしょう。

美味しいりんごの見分け方

  1. 果皮に張りがあってずっしりと重い
  2. 赤く染まっていて軸が太め
  3. 葉とらずりんごは色づきが悪くても甘い
  4. お尻が緑色のものは酸味が強め
  5. 黄色系りんごはサビが出ることも
  6. 果皮のテカテカは熟した証し

秋映ってどんなりんご?

長野県中野市で生まれた秋映りんご。
中野市は盆地特有の気候などにより、甘く色のいい美味しいりんごが育ちます。

秋映りんごは「千秋」と「つがる」の交配品種で、完熟すると果色が濃い赤色になるのが特徴。中野市のような寒い地域や標高の高い土地で収穫された秋映は、十分な冷気が表面に当たるために完熟したときには黒っぽい赤色になります。

果肉が緻密で果汁をたっぷり含んでおり、甘味と酸味のバランスが絶妙な長野県オリジナルの品種。「シナノスイート」「シナノゴールド」とともに長野県の「りんご3兄弟」ともいわれています。



秋映りんごを使用した季節のデザート

秋映りんごを使った10月の季節のタルト

『秋映とシャインマスカットのタルト』

1piece ¥1,180(税込)
販売期間:2023年10月1日〜10月31日
販売店舗:ラ・メゾン アンソレイユターブル 全店

コンポートして甘さをぎゅっととじ込めた秋映りんごと華やかな香りのシャインマスカットを飾りました。ケークタルトにキャラメルクリームを重ね、香ばしく濃厚なジャンドゥーヤをしのばせました。

https://la-maison.jp/tart/002215.html


『秋映とシャインマスカットのタルト』

1whole<16cm>¥4,580(税込)
販売期間:2023年10月1日〜10月31日
販売店舗:ラ・メゾン アンソレイユターブル 全店

ベイクドチーズタルトにベリークリームと爽やかな青リンゴヨーグルトクリームを重ね、パリっとはじける甘さのシャインマスカットとベリーを飾りました。

https://la-maison.jp/tart/002217.html


秋映りんごを使った予約限定のタルト

『ラ・メゾン タルトフリュイ〜シャインマスカット〜』

1whole<16cm>¥5,800(税込)
販売期間:2023年10月1日〜10月31日
販売店舗:ラ・メゾン アンソレイユターブル全店

香ばしいアーモンドタルトになめらかなディプロマットクリームとホイップクリームを重ね、いちごジャムをアクセントにしのばせました。甘くパリッとしたシャインマスカットと彩りどりよくフルーツを飾りました。

https://la-maison.jp/tart/002218.html


秋映りんごを使った季節限定ドリンク

『アップルガーデンティー〜秋映りんごを添えて〜』

¥810(税込)
販売期間:2023年9月1日〜9月30日
販売店舗:ラ・メゾン アンソレイユターブル カフェ全店

爽やかなりんごと甘酸っぱいアプリコットの香りのフルーツティーです。甘味と香りを閉じ込めた秋映りんごのコンポートとはちみつを添え、秋にぴったりのドリンクに仕上げました。

https://la-maison.jp/menu/


今澤 綾〈いまざわ あや〉
ラ・メゾンの企画広報担当として全国の生産者を取材しています。休みの日には旅行やフェス、イベントに行ったりとアクティブ派ですが、おうちでゲームもお気に入り。各地で見つけた食材を中心に発信していきます。